株式会社リッチロード
左から
代表取締役 德田里枝さん
開発・競売事業部 佐々木隆さん(取材当時67歳)
情報システム部副主任 池田珠実さん(新卒・中途採用/情報セキュリティ担当)
専務取締役 田中義夫さん
株式会社リッチロード 代表取締役 德田里枝さん
投資用不動産の売買やその仲介、賃貸管理のほか、リフォーム・リノベーション・増改築から建物管理まで行う、西新宿の不動産会社の代表でいらっしゃいます。これまでの新卒・生え抜き重視の人事戦略からシニアを含めた専門知識を持った即戦力の中途採用へと戦略を拡げ、新たなサービスの開発にも取り組んでいます。
御社は若い社員の方が多そうですが、今回、60代の施工管理技士の方を採用されようと思ったのはなぜでしょうか?
株式会社リッチロード 代表取締役 德田里枝さん(以下、德田):確かに若い社員が多いのですが、これまでも68歳まで勤めた社員がいて、シニアだから活用しないという方針ではありませんでした。
しかし、これまでは新卒採用を重視しており、あまり中途採用には力を入れてこなかったので、シニアの中途採用もありませんでした。そういった意味では佐々木さんが初のシニア中途採用になります。
コロナで増員一辺倒ではいかなくなり、経験値のある方の中途採用と新卒採用の両輪を重視する戦略への切り替えが必要になる中で、経験とスキルが豊富なシニア人材に着目しました。
実際にシニアの方を採用してみてどうでしたか?
德田:これまで社内にいなかった専門知識を持ち、長年活躍されて経験を持った方なので、社内のスピードが上がり、若い人にも良い刺激になっていると思います。
年配の方だと説教臭くなってしまう方もいますが、佐々木さんはそんなことはまったくなく、チャレンジ精神があり、若い人のお手本になっています。
社内では宅建(宅地建物取引士)の資格を取るために、以前は勉強会を開催して、コロナ以降は教材を提供しているのですが、佐々木さんも若い人に混ざって勉強しているんです。
どういったシニアの方であれば活躍できると思いますか?
德田:年齢が高くとも、頭が柔らかくて向上心のあり、健康な方ならば十分に活躍できると思います。
そうした方とは是非一緒に働きたいですね。年齢は問題ありません。
若い社員がすぐには身に着けられない知識や経験を活かして、しかし、さらに学ぶべきことは新たに学んでいただけるような方であれば、活躍できると思います。
シニアの採用や活用を考える企業の方にアドバイスをお願いいたします。
德田:人口に占める高齢者の割合が高くなる中で、企業がシニアの働く場を作っていくということは、大事なことだと思います。
しかし、経験を生かしてもらう場を準備するだけでなく、企業も変わる、シニアの方にも変化を促すという動きも、同時に必要だと思います。
年齢が高くなっても、企業の中に必ず、シニアの方が活躍できる場所はあります。それはピンポイントな配置かもしれませんが、年配の方でなければできないこともあると思います。
そうした活躍の場を見つけ、そこに思い切ってシニアの方を採用してみるといいかもしれません。
佐々木隆さん(取材当時67歳)
60歳以降、建築業界から未経験の不動産業界に転職し、若手に混ざって宅地建物取引士の受験勉強に努める前向きな努力家な建築施工管理技士資産です。仕入れたマンションなど不動産物件の現場調査や修繕を担当しています。
これまでのご経歴や現在のお仕事、転職の感想を教えてください。
佐々木隆さん(以下、佐々木):これまではずっと建築業界でマンションやテナントビル建築現場の施工管理技士として働いてきました。現在は買取再販の事業で仕入れたマンションやアパートなどの現場調査や見積作成、また修繕などの仕事を担当しています。建築業界からまったく未経験の不動産業界に転職し、かなり違うなぁという印象でした。
建築業界は現場中心で、朝から晩まで現場で仕事に追われていましたが、不動産業界はそうしたことがなくデスクワークもあります。また、建築業界は年齢層が高くて若い人が少なく、経験を積まないと認められない雰囲気でしたが、不動産業界では若い人がたくさん活躍しています。
若い人の仕事への気持ちや情熱も強く感じていて、“若い人ってなかなかやるじゃないか”と、私も若い人たちからの刺激を受けています。
若い人に混ざって宅建の勉強をしているそうですが。
佐々木:そうなんです。受かるか受からないかは別にして、勉強は必要だと思い、宅建(宅地建物取引士)の資格取得を目指すことにしました。
会社が教材を用意してくれるので、それを使って早めに出社した朝の時間などに勉強しています。
佐々木さんは何歳まで働き続けたいですか?
佐々木:私の場合は具体的に何歳とはあまり考えていませんが、自分の体力・気力、そして家族の状況などを考えながら、どんな仕事であったとしても働けるまで働きたいと思っています。
一時、何ヶ月か家でプラプラしていた時期がありましたが、やっぱり社会との接点が無くなると、自分がしぼんでしまうような感じがしました。それが嫌なので、年齢が高くなっても仕事を続けたほうがいいと思っています。
これから転職・再就職されるシニアの方にアドバイスをお願いします。
佐々木:現在は人口が減少していく中で、法改正もされて高齢の方でも働き続ける流れになっています。私は社会を支える上で、多くの人が長く働き続けるこの流れはいい流れだと思っています。
年配の方でも転職する時代だと思いますが、前の職場では60半ばになっても仕事に追われて自分を見つめる機会がありませんでした。これから転職・再就職を目指す方は、仕事を辞める前から、仕事とは何かといったことを考えたり、自分を見つめたりして、自分にマッチする仕事を見つけることが大切だと思います。