外山伊佐夫さん(取材当時63歳)
1級建築施工管理技士。大手マンション施工会社から公共施設を主とした建設会社に移り、RC造、SRC造の大規模改修工事の専門家として活躍。公共工事の経験も豊富なスペシャリストです。
ご転職や就職活動の経緯について教えてください。
建築施工管理技士として建設会社で現場の施工管理の仕事を長年していました。しかし、60歳を前にして脳梗塞を患って入院し、後遺症が出ずに済んだものの、健康や体力にも気をつけた働き方を考えるようになりました。
60歳になって定年退職をしたあと、そのまま再雇用で会社に残りましたが給料が下がってしまい、仕事量に見合わないと感じて再雇用2年目に転職を考えました。
ウェブサイトで検索していくつかシニアの人材会社に問い合わせたところ、シニアジョブが一番早く返事をくれて、質問にも丁寧に答えてくれて信頼できたので、登録することにしました。
その後も対応が早くて、登録から2週間後には今の職場への派遣が決まりました。
派遣社員は初めてだそうですが不安はありませんでしたか?
転職した時は既に62歳。もう正社員としての転職は難しいのではないかという思いもありましたし、周りの人に聞いてみると派遣で働く人も多いと聞いたので、シニアジョブの担当に派遣の働き方を確認しながら決断しました。
私自身は40年近く正社員しか経験がなくて派遣を詳しく知らず、戸惑いもありましたが、病気をして50代よりも健康にも気を遣った働き方を選ぶには良いかもしれないと思いました。
実際に働いてみると、お金の管理など精神的に負担の大きい業務がないことや、派遣会社のシニアジョブに相談に乗ってもらえる利点もありました。働く前もシニアジョブには給料などの希望条件を派遣先に伝えてもらい、希望どおりの転職ができましたし、派遣後も相談に乗ってくれます。
今はどのような仕事をされていますか?
定年までと同じく、建設会社の現場で建築施工管理の仕事です。定年前と違うことは派遣社員だということです。派遣でも現場監督として新築工事を担当していますが、派遣という立場や年齢のこともあり、自分から意見を出していくというよりは、求められれば意見を言うような形で、大勢の若い社員を見守ることが多いです。派遣先企業には若い社員が多いのですが、若手育成の役割も担っています。
建築の業界は「暇な時に休み、連勤は当たり前」のような業界でしたが、最近は休みもしっかり取るように変わっていて、無理せず働けています。定期的な通院も問題なくできています。
今、転職を振り返ってみていかがですか?
転職を決断して良かったと思います。病気を患ったとはいえ、労働意欲と体力的な面がある程度カバーできれば、60代はまだまだ現役で働くことができます。再雇用で給料が下がってしまうよりも、思い切って転職にチャレンジしたことは間違っていませんでした。
派遣という働き方も、最初は不安がありましたが、60代になった自分には合っていたように思います。自分の資格や経験が活かせるならば、派遣という雇用形態でもいいと思いますし、シニアジョブのようにシニアを専門として、相談にも乗ってくれる派遣会社があるのは、シニアの転職にプラスだと思います。
今後はどのように働いていきたいですか?
やはり働ける限りは働いて、体を動かしていたいと思います。
特に建築業などの技術系の職種は、3K職種でもあって若い方々に敬遠され、働き手が足りていません。私たち60代の知識と力がまだまだ求められていると思います。働き方が変わる世の中とはいえ、やはり繁忙期は忙しいのが建築業なので、週休二日・土日休みが当たり前という若い方のなり手は今後も減るでしょう。
また、急にはなり手を増やせません。建築業は体で覚えることの多い経験工学の側面もあるので、学校の勉強だけですぐに十分な能力が身につくわけではありません。そういった意味では私たち60代が今後も現場を支え、若手の育成にも力を発揮する必要があると思います。